野糞の墓

ここは京都東栄ぐるぐる渦巻(うずまき)村撮影所。
時代劇のセットなどが置いてある場所である。
峠の茶屋でお団子を食べていたベテラン女優・民子に
巨匠・一太郎監督が声をかけた。

「今度君と共演することになった新人の健太君を紹介するよ。
 いろいろと指導してやってくれ。」

「け、け、健太です、よろしくお願いします・・・(ドキドキ・・・)」


「初めまして。民子です。頑張っていい作品を作っていきましょうね♪」


緊張しまくる健太の手元に台本が届けられた。
健太「えっ。「野菊の墓」・・・こんな有名な作品に出られるなんて・・・
   しかもあのベテラン女優の民子さんと・・・!!!」

それから30分後に監督が声をかけた。
「はい、それじゃ本番行きまーす。リハなしのぶっつけ本番ね。」

健太「ウッソォ〜〜〜!!??いきなり???」

監督「スタート!!!」

健太「あ、あの、あの、た、た、民さんは野菊のような人だ・・・・。」

民子「まあ、健太さんたら・・・・(頬を赤らめる)」

健太「ぼ、ぼ、僕は、野菊が・・・だ、だい、大好きだーーーー!!!」

民子「あたしもー!あたしも大好きよ健太さん!
   風に乗って運ばれてくるあの甘い香り、ふかふかとした噛み心地。
   あたしはあの野糞が大好き・・・・」

健太「・・・・・え?」


民子「・・・・・え?」


健太&民子「え〜〜〜〜〜!!????」

監督「はいオッケー!!!よく頑張ったね。」

こうして新人俳優・健太の初仕事は無事成功に終わった。
初めてのことで頭の中が真っ白になった健太が
渡された台本が「野菊の墓」ではなく「野糞の墓」であることに
気づくまでにはまだまだ時間がかかりそうであった。




幾多の試練を乗り越えようやく結ばれるかと思われた健太と民子。
しかし強力なライバルが出現したことから物語は思わぬ展開に・・・・。

突如現れた健太の幼なじみの妙子(たえこ)
妙子「健太さんは私のものよ。
   彼と私はね、うんと小さい頃からずっと一緒で兄妹のように育ったのよ。
   今さらあんたが入り込む隙なんてないのよ!!」

民子「ええっ・・・・!?」民子の顔色が変わった。

妙子「遠慮のない間柄だからこんなふうに平気でオナラもできちゃうのよ。
どう?あなたにマネができて?」


民子「そ、それじゃ親分の元で杯を交わしたのね!?」

妙子「そうそう、固い契りの義兄弟・・・て誰がやねん!!」

民子「あたしだって健太さんと離れるのはもう嫌よっ。
    それに、決めるのは健太さん自身だわ。」

妙子「それじゃあ彼に決めてもらいましょう。
   小細工なしで正々堂々と勝負するのよ、いいわね?
   あたしにいい考えがあるの。ふふっ♪今にギャフンと言わせてやるわ!!」

妙子は計画どおり健太を海に呼び出した。
健太が姿を現したと同時に妙子と民子は逆方向へと走って海に飛び込んだ。
おぼれたふりをする2人のうちどちらを先に助けに行くかで
健太の本心がわかるだろうと妙子は提案したのである。
中央には審判員の白鳥を雇った(笑)

妙子「助けてえ〜〜健太さ〜ん〜!!!」

民子「健太さーん、助けてっ。溺れるぅー!!(ブクブクブク.。o○)」

健太「あーーーっ!!!民子さん、妙子ー!!!」

健太「大変だっ。どうしよう、どうしよう、どうしよう〜!?
   ああああぁぁぁ〜〜!!!
   うっ・・・!!!!」
緊張するとお腹が痛くなる健太はパニックのあまりお腹が急変した。

健太「うわぁぁぁぁ〜〜もうダメだあ〜〜!!!!」

健太は溺れる民子と妙子に背を向けて海の家のトイレへと走り去り
そのままいつまで経っても戻らなかった。

「ええ〜!?」「うっそぉ〜!!」「そんなあ〜!!」
本当は泳ぎが得意な2人はあきらめて陸にあがり
顔を見合わせて同時に「ギャッフン!!!」と叫んだ。

民子「妙子さん、あなたの勝ちよ。私は潔く身をひくわ。」

妙子「いいえ違うわ、あなたの勝ちよ。健太さんはあなたにあげるわ。」


「あなたに譲るって!!」「あげるって!!」「要らないってば!!」
健太のあまりのへたれっぷりにあきれた2人は今度は健太の譲り合いを始めた。

そんなことにも気づかない健太は・・・
激しく込み合う海の家のトイレの前で顔面蒼白になりながら順番待ちをしていた。

恋人よりもトイレを選んだ男、健太。
そのため彼は2人の女性に見捨てられようとしていた。
しかし捨てる神あれば拾う神あり。迫り来る便意と懸命に戦いながら
トイレの順番を待つ健太に一人の女性が声をかけてきた。

「あんた何やってんの?非常事態なんだからこんな所に並んでないで
砂浜でもどこでも行って野グソすればいいじゃないの。」
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健太「そ、そんなこと僕には・・・・(ブルブル)」
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「あらま。いいところの坊ちゃんなのね。それじゃこっちにいらっしゃい。
女子トイレが空いてるわ。カギが壊れてるけどあたしが見張っててあげるから!!」

健太「あ、ありがとう(ピュー)!!!」

女は口は悪いが親切だった。ようやく用を足し終えてトイレから出てきた彼は
いつもの紳士に戻っていた。
健太「どうもありがとう、助かったよ。ところで君の名前は・・・?」
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「あたしの名前は小珠(こたま)。でもみんなはクロちゃんて呼ぶわ。」
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健太「クロちゃんか。可愛い名前だね・・・・。」


半年後。


民子と妙子のところにこんな葉書が届いた。
健太と小珠(こたま)の結婚通知である。
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民子「ねえねえ、この葉書届いた?」
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妙子「届いたわよ。よかったね。2人してか弱い男性を捨てたとあっては
   寝覚めが悪いと思ってたけどいい人が見つかって安心したわ。」

民子と妙子はあれ以来すっかり仲良くなりこうしてときどきランチを楽しんでいた。

民子「彼のお腹は私が守りますって・・・これってマジ?」
妙子「ギャグで結婚する人はいないから本気なんじゃないの?」
民子「そういえば腹巻きみたいなカッコしてるし。私は愛の胃腸薬ですってか!?」
妙子「・・・・・・(肩を震わせる)」
民子「たえちゃん、どうしたの?」
妙子「・・・・パッパラパッパパッパラパッパパーパラパッパー・・・・」
民子「ラッパのマークの!!正露丸!!!」
妙子「そうか、彼は整腸剤と結婚したってわけね。」
民子「新婚だから甘くて飲みやすい黒い糖衣錠〜♪」
妙子「水が変わっても大丈夫、海外旅行のお伴に忘れずに!!」
民子「私は愛の常備薬〜ギャハハハハ!!!!」
妙子「ちょっと民ちゃん、ウケ過ぎ!」
民子「たえちゃんこそ・・・・ヒーッヒッヒッヒッ(バンバン)!!!!」

2人の笑い声はいつまでも続いた。
女というのは恐ろしい。
ついこの間までは健太をめぐる恋のライバルとして火花を散らしていたというのに
今や健太は2人の笑いのネタであり、その妻のこたまに至っては勝手に
「ラッパのマーク」という名前をつけられ2人の爆笑ギャグになってしまった。

ともあれ信頼できる生涯の常備薬を得た健太と
終生の友人を得た民子と妙子はそれなりに幸せになれたのだった。

めでたしめでたし。




    「予告」

あのゴールデンコンビが帰ってきた!!!(めざせ第2の百恵・友和!?)

前作「野糞の墓」でお茶の間の失笑を買った健太と民子が
再び送る(今度こそ)純愛劇。

「愛と詩を見つめて」


ウンが定着しそうな不幸なキャバ  日本一眼帯が似合うキャバ

♪マコ・・・甘えてばかりでごめんね タミコはとっても幸せなの〜♪

あらすじ

1960年代。
大阪の病院で療養中のタミコは東京に住むボーイフレンドのマコ(マコト)と
文通で愛をはぐくんでいた。
やがて残された右目も病に冒されたタミコが選んだ道は・・・・?


読んでみたい方はこちら!

注:この物語は「愛と死をみつめて」とは全く関係ありません。