「キャバの惑星」


ひょんなことから異次元の世界にワープしてしまったクッキーママ。
彼女は見知らぬ街をもう何時間もさまよっていた。
「ああ疲れた・・・。腹減った。行けども行けども誰もいないし、たまに見るのはキャバリアばっかり。
ここはもしかしてキャバリアの惑星?なーんてね。そんなバナナ〜!!」
木陰に座ってポケットの中から取り出したあんぱんを食べようとすると
向こうから1頭のキャバリアが尻尾をブンブン振りながら近づいてきた。

タミー「おひけえなすって!!あんぱんくれくれ!!」

「あーーっ。タミーちゃんじゃないのー!!!
よかったー。やっと知ってる顔に会えたー。
ねえたみちょん、ママのいるところまで案内してくれる?このあんぱんあげるから!」

タミーに案内された家に着くとタミーは誰にも横取りされないようにあんぱんをくわえたまま
部屋の隅に行ってしまった。
「あ、香苗おねいちゃん!!ねえねえ、どこにも人がいないけどどうなってんの?」
何か答えようとした瞬間、香苗の首からシューッという音とともに異臭が・・・。
椎茸を煮ているような匂いだった。よけいなおしゃべりをしようとすると本人の嫌がる匂いの出る
「AHOSTOP」を首につけられているらしい。
「おねいちゃん、もしかしてたみちょんに飼われてるの!?」
動揺しつつもクーママは好奇心を抑えきれず「お手!お代わり!伏せ!待て!」と
香苗に次々と芸をさせ「おおよしよし、いい子だね♪」と頭をナデナデした。
よく見るとそのお尻から短いながらもサルのような尻尾が出てパタパタ揺れている。
「ひえーーーっ!!!!」
ビックリしてひっくり返ったクーママは頭を床に打ちつけそのまま気を失ってしまった。


「ママ・・・なんか悪いもんでも食べた?」

気が付くとクーママはベッドの上で寝ていた。
クッキー・のんのん・てんてん達が心配そうにのぞきこんでいる。
「あ・・・くーのんてん!!!よかった、夢だったんだー!!!」
安心したクーママはそのまま2度寝してしまった。
自分の首に「AHOSTOP(ジンギスカン臭)」が着けられ玄関ではクーパパが番犬(人)として
つながれていることも知らずに・・・。

   完。


   「続・キャバの惑星」


20XX年。地球。
空前のペットブームの末に残されたのは乱暴な繁殖や売買、無責任な飼育や投棄による
大勢の不幸な犬たちだった。
怒った犬大王は人間にだけ感染するウィルスを撒き散らし、そのほとんどを死滅させた。
完全に死に絶えたと思われた人類だったがゴキブリ並みのしぶとい生命力で生き残る者もあり
犬大王は彼らを保健所に集め処分するつもりだった。
しかしそれに反対する犬達が現れた。
「人間大好き犬」のキャバリアである。


「犬大王様お願いです。人間たちを殺さないで下さいまし。
うちにいるのはアホでのろまな人間ですが私を虐待したりしません。
一緒に遊んでくれたり、たまにはおいしいおやつもくれます。
もういい歳だしこのまま寿命まで生かしてやって下さい。」(by タミー)


「私からもお願いします。私は困っているところを助けてもらいました。
悪い人間ばっかりじゃありません。」(by マロン)


「そうよそうよ。パパがいなくなったら居心地のいいクッションが
なくなって困るじゃない。」(by のんのん)


「え・・・あたし人間じゃなかったの・・・?」(by チャッピィ)

こんなとぼけた者まで出る始末・・・・・。


「よしわかった。お前たちは野生の犬として生きてきた経験が一度もない。
その垂れた耳の中を掃除したり、もつれた飾り毛をとかす存在も必要だろう。
これまで通り人間と仲良く暮らしてゆくがいい。
ただし、人間に飼われるのではなくこれからはお前たちが人間をペットにするのだ。
無駄な繁殖を防ぎ、責任を持って可愛がってやるがよい。」(by 犬大王)

「ありがとうございます、犬大王様・・・!!!」(by キャバ一同)

犬大王は他の犬達を連れて故郷の犬大王星へと帰って行き
地球にはキャバリアと少数の人類だけが残された。
これが「キャバリアの惑星」の誕生である。




・・・・・というような事情など全く知ったこっちゃないクッキーママ。
「とらわれの(?)身となった香苗おねいちゃんを助けなければ」と
無謀にも救出計画を練るのだった。
許可なく外をうろつく人間は通行キャバによって通報され捕獲されてしまうことなど
何ひとつ知らないクッキーママとその相棒のクッキーパパ。
彼らの運命はいかに!?
(無責任につづく〜〜!!!)